2011年7月12日火曜日

学術雑誌評価指標の理解(3)【IF,Eigen Factor,Article Influence】

前述した計算で出したEFですが、早速問題点も主張されています。

一つには、「雑誌のトータルの被引用数とEFは強い正の相関がある」ということです。これは考えによっては「いっぱい論文を掲載するのがEFの大きくていい雑誌」ということにもなるわけです。まあ個人的にはそれが悪いことだとは思いませんが。

実際にどうなっているかを調べると、やはり被引用数とEFには上述した相関関係が認められました(引用7)。このペーパーでは、専門誌ながら超有名なCellよりも、一般紙であるNature,Science,PNASの方がEFと被引用数が高い傾向にあります。ただ、後者3誌が一般紙であることを考えれば、色々な分野の論文から引用される雑誌であって、別にEFの理念に逆らった物ではないように感じます。

ですが、今年のProsONEのEFがかなり高かったことなんかは、ProsONEの採択率の高さなどを考慮すると、一定のバイアスがかかっている可能性も考えられますね。

そのような懸念に対して考え出されたのがAIで、



の計算式で算出されます。要はAIはEFを発行論文数の比で割ったものになっています。aは先ほどの論文ベクトルです。しかし、こういう手出しをすると、AIとIFは結局似たような性質(掲載数の小さな雑誌が価値が大きい)を持ってしまうことになり、堂々巡りになっているようです。

事実、AIはEFよりもIFと強い正の相関を持つことも(ある分野の雑誌においては)示されています(文献8)。

とりあえずのEFとAIの扱いとして、提唱者側からは「EFはある雑誌の影響力をみるもの、AIはある雑誌のある論文の価値を調べる物」という風に区別がされているようです。

いずれにせよ、EFやAIが100%客観的な指標化と言えば、そうでもありませんし、そういう指標を作ることは相当難しいことなのです。一番確実に学術雑誌を評価することは、全ての雑誌を自分で読むことなのですから。

とにかく、これで今出ている雑誌評価の指標についてはだいたい理解できたとは思いますが、それらの値自体にあまりこだわるのは不適切だとも思います。

特に、まだ自分のようなレベルの者は、どんな価値の雑誌であれとにかくデータを論文にまとめて投稿しアクセプトを得ることが重要で、質よりは数がほしいのです。

けれど、これで毎年の発表の際今までよりも少し論理的に一喜一憂できるかなと思います。
 

引用文献
7,http://www.pnas.org/content/106/17/6883.short
8,http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20090204/1233768162

0 件のコメント: