2011年9月22日木曜日

言葉の違い

日常生活とか、あるいは研究生活とか自分の専門としている分野とかで、何気なく使っている言葉の本来の意味が実はよく分かっていなかったり、似たような別の言葉があったときにそれらの違い、使い分けがピンとこなかったりすることが往々にしてあるものだ。

分子系統学の分野でもそういうことは勿論あって、僕もよく意味を把握せずになんとなしに用語を使用し、その言葉の意味や使い方を指摘されることが度々ある。大体そういうことを指摘してくれるのは大ボスである。まだまだ勉強不足なところがあるが、専門用語の細かい意味まできちんと考えて区別し、議論に使用するということは非常に重要なことだと思っている。何故ならば、日本語ですら意味をきちんと理解してないのに、英語で論文を、それも他人を納得させられるような真っ当な論文を書くことなど不可能だからである。

前置きはさておき、これまでにあった例としては次のようなものがある。

・系統樹は”推定”するものではなく”推測”するものである。

phylogenetic inferenceというとどちらの意味でも訳することは出来るが、日本語の表現としては推測の方が適切だろう。何故かについてであるが、例えばネットで調べてみると推測と推定の違いは、

「誰が(主体)、何を(客体)、推定or推測する(作用)」

という悟性認識の機構のもとで、主体寄りの作用で抽象性を伴う(推測)なのか客体寄りの作用で具体性を伴う(推定)なのかの違いがあるらしい。

ともあれ、そんな難しいことを考えなくても、我々が解析によって得る系統樹というのはどんなに頑張っても決して真の系統樹に非ず、方法の違いによっても形状や枝長などのパラメータが変化するものである。従って、系統樹は「推して定める」ものではなく、「推して測る」ものであるという方が、(謙虚さという要素も含めて)より適切な表現だろう。

・AICはモデルの「適合度」ではなく、モデルの「適切さ」を示すものである。

この適合度とは英語で言えばfitnessで、適切さはadequacyといったところだろう。
適合度とは尤度で示されるものであって、AICで示されるものではない。

・Bootstrap probability じゃなくて Bootstrap proportion

英語でも日本語でも、bootstrap proportionとかブートストラップ割合とかじゃなく、bootstrap probability とかブートストラップ確率というケースが圧倒的に多いのだが、ブートストラップ解析の手法を鑑みれば、最終的に各replicateから得られた系統樹から各分岐パターンの出現”頻度”(確率ぢゃない)を計算しているので、割合あるいはブートストラップ値(value)といった方が適切なのは自明である。

長いので分割。

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